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STEVE GADD BAND JAPAN TOUR 2024 featuring MICHAEL LANDAU, TRAVIS CARLTON, JEFF BABKO & WALT FOWLER

artist MICHAEL LANDAU , STEVE GADD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

昨年、結成10周年を迎えた最強集団が、今年も音楽の喜びをまき散らしています。しかも今回は「ブルーノート東京」5デイズに加え、ジャパン・ツアーも行なうのですから(12日には山形公演が開催されました)、いろんな地域にお住まいの方が、この5人のプレイに魅了されることでしょう。スティーヴ・ガッド・バンド、まさに堂々たる帰還です。

ステージには向かって左からジェフ・バブコ(ピアノ、エレクトリック・ピアノ、トロンボーン)、ウォルト・フォウラー(フリューゲルホーン、トランペット)、ガッド(ドラムス)、トラヴィス・カールトン(ベース)、マイケル・ランドウ(ギター)が並びます。ガッドは文字通り"グルーヴの司令塔"という感じで中心に位置し、ソリストたちのプレイをメリハリに富んだスティック&ブラッシュ・ワークで鼓舞します。トラヴィスはガッドに極めて近い場所に立ち、このドラム・マスターの手先にも目を配りながら堅実にベースを鳴らします。ドラムスとベースの息がぴったり合っているバンドを聴くのは、本当に気持ちの良いものです。

初日のセカンド・セットは、ガッドは1980年代に率いていた"ザ・ガッド・ギャング"のレパートリーでもあった「Things Ain't What They Used to Be」から始まりました。デューク・エリントン・オーケストラの演奏で広まった歴史的なジャズ・ナンバーです。この夜はガッドの懐の大きなビートの上でジェフ(トロンボーン)、ウォルト、マイケルが痛快なソロを繰り広げました。先のふたりは自らの持つジャズ・ルーツを打ち出すようなプレイを展開、それがマイケルのブルース・ロック的なアプローチと絶妙なコントラストを描きます。

この1曲で観客から大きな拍手を引き出した後は、ジェフが書き下ろした新曲「Party Guy」が登場します。冒頭に登場するリフ(短い楽句)を聴いて私はアイズリー・ブラザーズの、とある楽曲を思い出しましたが、メロディ・ラインは面白いほど多彩に変化していきます。ミュート・トランペットとエレクトリック・ピアノによるユニゾン・パートも実にチャーミングでした。ジェフはさらに、今回の来日公演が世界初披露であるという「Fisch for Dinner」も提供。サンバ調の楽想で、スティーヴ・ガッド・バンドの新たな一面を引き出したといっても過言ではありません。また、元メンバーのラリー・ゴールディングスが書いた「Sly Boots」では、それまでバッキングに凄みを発揮してきたガッドが、ついに強力このうえないドラム・ソロを展開。美しさ、歌心、重量感を兼ね備えた打撃と踏み込みには、聴きほれるばかりです。オーラスは、1970年代にザ・クルセイダーズの演奏で人気を集めた「Put It Where You Want It」。クルセイダーズではラリー・カールトン(トラヴィスの父)のプレイにスポットライトが当たっていた記憶がありますが、スティーヴ・ガッド・バンドではマイケルがアーミングを駆使しながら粘っこく、まさに彼ならではの「Put It」で観客を熱狂させました。

メンバーも、超満員のオーディエンスも笑顔に溢れるスティーヴ・ガッド・バンドの公演は、さまざまな会場で27日まで開催されます。スケジュールに関してはブルーノート東京のホームページをご覧ください。
(原田 2024 1.15)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

STEVE GADD BAND JAPAN TOUR 2024
featuring MICHAEL LANDAU, TRAVIS CARLTON, JEFF BABKO & WALT FOWLER
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1.12 fri. 山形テルサ
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1.14 sun., 1.15 mon., 1.17 wed., 1.18 thu., 1.19 fri. ブルーノート東京
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1.20 sat. 石川県立音楽堂
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1.25 thu. コットンクラブ
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1.27 sat. 高崎芸術劇場 スタジオシアター
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SET LIST

2024 1.14 Sat.
1st
1. AFRICA
2. THE LONG WAY HOME
3. MARVIN GARDENS
4. TIMPANOGOS
5. BLUES FOR…
6. OH YEAH?
7. COUNTRY
8. SIGNED, SEALED, DELIVERED
 
2nd
1. THINGS AIN’T WHAT THEY USED TO BE
2. PARTY GUY
3. THE LONG WAY HOME
4. FISCH FOR DINNER
5. HIDDEN DRIVE
6. OH YEAH?
7. AUCKLAND BY NUMBERS
8. SLY BOOTS
EC. PUT IT WHERE YOU WANT IT

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